「大事なのは方法論ではなく個体差の評価!」 分子栄養学に基づいた血液データリーディング・栄養評価・ダイエット・健康に関するセミナー「トレーナーの為の栄養学講座」岡洋介です。
今日は個体差の評価を消化を例に挙げて具体的に解説していきます。
特にタンパク質の消化について話していきます。糖質制限をするにしても、バランスの良い食事をするにしても、トレーナーとしてはタンパク質をしっかり摂取するように指導しますよね。
タンパク質をしっかり摂取することはいいことなんです。しかし、消化能力が低い人はお腹が張ってしまったり、便が緩くなったり、体調不良、肌荒れなどのアレルギー反応が出る方もいます。
(↑聞き取りをするとちゃんとバナナ状の便が出ているクライアントは意外と少ないです。)
ですので、やはり事前にクライアントの消化能力を評価し、もし消化能力が低い方にはアミノ酸や出汁スープなど消化しやすいもので摂取してもらったり、消化の補助をするサプリを使ったりなど色々な選択肢を考える必要があるのです。
タンパク質はまずは胃で消化を受けます。
その後胃から出て十二指腸に入り、膵臓から出る消化酵素で更に消化を受け、最後は小腸の膜にある酵素で消化され吸収されます。
この最初の段階の胃での消化が重要となります。
タンパク質はアミノ酸からできています。
アミノ酸が繋がって糸状になり、それがより合わさってミサンガ状になり、それが立体構造を形成して毛糸玉になるようなイメージです。
胃で胃酸によってこの毛糸玉が緩まないと、消化酵素がうまく当たらず、消化不良になります。
未消化のタンパク質は悪玉菌のエサとなり腸内環境を悪くします。そして腸のバリア機能が緩むと、本来は吸収されない未消化のタンパク質が血液中に入ってしまい、アレルギーや炎症を起こします。
次に胃の中を見ます。
胃から出るペプシノーゲンと胃酸が混ざってペプシンというタンパク質を分解する酵素になります。
血液データではペプシノーゲンの値を見て胃酸を間接的に評価します。
まず、ペプシノーゲンIとペプシノーゲンIIの比率が5以上あるか。
5より低いと胃炎やピロリの可能性、3以下で萎縮性胃炎やがんの可能性があり、ペプシノーゲンIの値が正しく見れません。
その上でペプシノーゲンIが70位が理想です。ただ、実際70ある方はほとんどいないので、50以上あればオッケーです。
画像のように比率が悪く、ペプシノーゲンIが低い場合は、急に肉や魚を増やしたり、プロテインを飲んでもうまくいかないかもしれません。
このように消化能力が低い方は、先程書いたようにアミノ酸や出汁スープ、肉であれば塊肉ではなくミンチ肉など消化に優しいもので。
そしてタンパク質を食べる前に梅干しやレモン、りんご酢、パセリなどを摂り胃酸の分泌を促すなど。ペプシノーゲンIとⅡの比率が大丈夫であればサプリメントで塩酸ベタインを摂るのも1つの方法です。
血液データがない場合の簡易なテストとして、レモン果汁大さじ1を3倍位に薄めて、それを食事と共にちょびちょび摂ってもらいます。
それで食後に胃がスッキリするようなら胃酸が不足しているので、やはり胃酸の補助となるようなものを摂っていくといいでしょう。
逆に胃に不快感があるようでしたら、胃酸は少なくないのでしょう。
タンパク質がしっかり消化吸収できてくると、胃壁もタンパク質でできているので、修復されてきて胃酸を分泌できるようになってきます。血液データのタンパク質の値も指標になります。
ここからは補足ですが、血液データで不足している栄養素を生化学的に評価してサプリでしっかり摂っても、なかなかうまくいかない方もいます。
消化管を動かすにはATPが必要なので甲状腺機能が低下していたり、なんらかの原因でうまくエネルギーが作れていない場合。
または、消化管は自律神経の影響を大きく受けるので、ストレスなどで交感神経が優位な方はせっかく食事やサプリを気をつけても胃腸の働きが弱り、うまくいかなかったりします。
最終的にはこの辺のストレス、メンタルケアまでできるとより効果を出しやすくなると思います。
ここはトレーナーやセラピスト、治療家に皆さんはそれぞれ得意技があると思います。
何か一つのもので十分条件になるということはないですが、分子栄養学はクライアントのお悩み解決の必要条件として強力な武器になります^_^
ではまた!
7月25日「血液データリーディング入門編」
7月31日「血液データリーディング実践編」