大事なのは方法論ではなく個体差の評価!」 分子栄養学に基づいた血液データリーディング・栄養評価・ダイエット・健康に関するセミナー「トレーナーの為の栄養学講座」岡洋介です。

 

前回の続きで、今日は代謝における「個体差の評価」の具体例を解説していきます。

ミトコンドリアでATPを作るには鉄、マグネシウム、ビタミンB群、コエンザイムQ10などが必要でした。


今日はビタミンB群を取り上げますが、その指標として使えるのが
健康診断の項目にもあるALTAST

ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)

主に肝臓にある酵素です。レバーのLと覚えると分かりやすいです。

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)

肝臓、心臓、筋肉、赤血球などにある酵素です。心臓のSと覚えると分かりやすいです。

どちらもアミノ酸のアミノ基を転移して※糖新生する為の酵素です。

血糖値が下がってくるとホルモンの働きにより、アミノ酸などから糖をつくります。

大体の適正値としては2020位です。

ALTASTは通常医療では数値が高い時に肝臓や心臓の疾患のマーカーとして使われます。

しかし、栄養療法ではビタミンB6の指標としても使われます。どちらもビタミンB6を補酵素としているからです。

基準値内でASTよりALT2以上低い時はビタミンB6不足と判定します。
ASTよりALTの方が半減期が長いので、補酵素のビタミンB6が不足しているとASTALTの差が開くからです。

両方とも低い場合は、酵素はタンパク質なので、タンパク質不足の可能性。

逆にALTの方が2以上高い場合は脂肪肝の可能性ありとなります。

軽くまとめるとALTASTが低い原因は

B6不足(摂取不足・消化吸収

B6は主に肉魚に多いので、胃酸が少なくタンパク質とB6を遊離できていないB6は腸内細菌も産生するので腸内環境が悪いかも、など消化の指標にもなりえます。

タンパク質不足(摂取不足・消化吸収

・副腎疲労などによる低血糖で糖新生が活発になり、ALTASTの需要が亢進している

エネルギー不足(甲状腺機能低下など)でタンパク質の組み立てがうまく行ってない

などです。

※画像のサンプルのAST22、 ALT15の解釈は別記事で糖新生の解説と共に書きます。

ビタミンB6は糖新生など様々な代謝に関与すること、そしてビタミンB群は相互作用するので、B6が不足していると様々な症状が出ます。

その症状についてはここでは割愛しますが、クライアントの健康診断を見て、とりあえずASTALTが低ければエネルギーを作るのは苦手そうなので、糖質制限はやめておこうという判断ができるのです
このようにデータや機序に基づいて、食事指導の方向性を決めることができるのです。

個体差の評価の重要性を少しでもご理解いただけると幸いです^_^

次回はホルモンについてです。

ではまた!

725日「血液データリーディング入門編

731日「血液データリーディング実践編

共にzoomにて(録画視聴可能)。