「大事なのは方法論ではなく評価に基づいた個別化アプローチ!」
分子栄養学に基づいた血液データリーディング・栄養評価・ダイエット・健康に関するセミナー「トレーナーの為の分子栄養学講座」岡洋介です。
「メルマガ読者様からのご質問⁉️」
「ダイエット目的でのGLP-1やGLP-1作動薬の単剤使用では低血糖にならないと書いてあったのですが、なぜでしょうか?」
「食事をしていない時にGLP-1が作用すればインスリンが分泌されて低血糖になってしまうのではないでしょうか?」
最近メルマガをずっとサボっていたのですが、珍しく読者様から質問をいただきました。
トレーナーさんにとって公益性がありそうなのでシェアします。
この質問はなかなか良い質問ですね。
GLP-1はインスリンの分泌を促進するので、食事以外の時に効力を発揮すれば低血糖になりそうと思ってしまいますよね。
答えはすごく簡単にいうと
「血糖値が上がらないと膵β細胞内の代謝変化が起こらずインスリン分泌のスイッチが入らないから」です。
ここから説明していきます。
最近ダイエットでGLP-1注射が広まってきていたり、今年始めにはウゴービ(有効成分セマグルチド)という新しい肥満症の薬が承認されました。
そもそもGLP-1とは?
小腸下部や大腸のL細胞の受容体に栄養素がくっ付くと分泌され、膵臓のβ細胞において血糖依存的にインスリンを分泌するホルモンです。
・膵臓に作用するとインスリン分泌
・脳に作用すると食欲抑制
・胃に作用すると胃排出を遅らせ満腹感
ダイエット効果は食欲抑制によるものが大きいです。
血糖依存的にインスリンを分泌というところがポイントなのですが、これだけ聞いてもよく分かんないですよね。
これは膵β細胞内での代謝を理解すると分かりやすいです。
・食事によって血糖値が上がると膵β細胞で代謝が起こりATPが相対的に増えます。
・ATP依存性カリウムチャネルが閉じてK+が溜まる。
※普段はATP依存性カリウムチャネルは開いていてK+(カリウムイオン)が細胞外へ放出されているので、細胞内はマイナスの電位を帯びています。
・K+が溜まることで細胞外との電位差がなくなる(これを脱分極といいます)→Ca+(カルシウムイオン)が流入。
※普段は電位差があるので流入できないが、細胞内の代謝変化により電位差が無くなり流入
・Ca+は細胞内でスイッチの役割をしています。
これによってインスリンが分泌されます。
・GLP-1はこれを促進する役目。
このような仕組みでインスリンが分泌されるので、食事以外の時はATPが増えないので代謝変化が起こらず、インスリンの分泌もそんなに増えるリスクは無いのです。
まあでも低血糖のリスクが無くても食事量が減ることでタンパク質やビタミン・ミネラルが不足する可能性などがあるし、考え方や食習慣が変わらなければ根本的な解決にならないので、あくまでも使い方によりますよね。
安易に痩せ薬だと思って使うようなものではないです。
長々と書きましたが、結局生理学や生化学をある程度理解していないと、ネットなどで調べて文章を読んでも仕組みを理解できないということです。
トレーナーの為の分子栄養学講座ではトレーナーの職域に合わせて過不足なく生理学や生化学も組み込んでいます。
これによってなぜこうなるのか?という仕組みを理解できるのでクライアントへの説明の厚みや信頼度が全く変わります。
現在第2期を開催中で今年中に第3期を開催予定です。
ではまた🙂