「大事なのは方法論ではなく個体差の評価!」 分子栄養学に基づいた血液データリーディング・栄養評価・ダイエット・健康に関するセミナー「トレーナーの為の栄養学講座」岡洋介です。
「むくみと血漿膠質浸透圧⁉️」
クライアントに浮腫むんですって相談されたらどうしますか?むくみで太っている、体重が落ちない方もいます。
トレーナーがよく言いそうなアドバイス
→運動して血流を良くしましょう、ふくらはぎの筋肉を動かしましょう、、、
単純に長時間のデスクワークなどで下肢に血流が滞っている場合はふくらはぎを動かすのもいいかもしれません。
ただ、もっと根本的なところを知っておくともう少し踏み込んだアドバイスができます。
まず言葉を簡単に定義します。
・むくみ→(血管外へ水分が出てしまうことで)間質(細胞と細胞の隙間)に水分が溜まってしまうこと
・浸透圧→同じ濃度になろうとする力
・膠質浸透圧→タンパク質(アルブミン)によって生じる浸透圧
画像見ながら説明していきます。
右上の図、濃度の違う液体を1つの水槽に入れ、半透膜(水とか小さい分子は通すけどタンパク質のような大きい分子は通さないもの。血管も半透膜です)で隔てると、水分は薄い方から濃い方へ移動します。要するに同じ濃度になろうとします。→浸透圧
この時に浸透圧を発生させるのがアルブミンというタンパク質(アルブミンは血漿中のタンパク質の6〜7割をしめる)です。
要するに血漿に適切なアルブミンが含まれていれば、間質側から血管側へ水分を引きつける力が働くので、間質側に水分が溜まらない→浮腫まないのです。
もう少し詳しく見ると、右下の図、
・動脈では血圧による間質側へ押し出す力が浸透圧よりも強いので間質側へ水分が出ていく
・静脈では浸透圧の方が強くなるので水分が血管側へ戻る&リンパ管が余った水分を回収してまた静脈と合流
これによって一定の水分量が保たれるようになっています。
ではなぜアルブミンが少なくなるのか?
・たんぱく質の摂取不足または吸収できてない(浸透圧↓)
・肝機能↓(アルブミンは肝臓で作られる)
・ミトコンドリア↓でATP↓→タンパク質を組み立てられていない
・ネフローゼ症候群(尿からタンパク質が出てしまう)
・静脈血栓、心不全(どちらも血液がうっ血して間質側へしみ出す)
・妊娠(ホルモンの影響や子宮が大きくなることによる物理的な静脈の圧迫)
・炎症(サイトカインなどにより、血管の透過性が高まり、アルブミンなども間質側へ出てしまい、膠質浸透圧↓。炎症があるとアルブミンの合成も落ちます。)
などなど。
なのでトレーナーは既往歴を確認した上で、血液データで炎症の有無、肝機能、ペプシノーゲン、タンパク質、アルブミンの値をしっかり確認してアドバイスしましょう。
ではまた^_^